Little AngelPretty devil
           〜ルイヒル年の差パラレル

    “ビフォーアフター・バレンタインデー”
 


光沢のあるなめらかな仕上がりのテンパリングをしたいなら、
チョコガナッシュを作るとき、
チョコと一緒に溶かすバターの比率に要注意。
あんまり入れ過ぎると、
中へ封入する用のガナッシュみたいに やわやわになるし。
そうかといって入れなさすぎると、
冷めるとちょっと曇ったような仕上がりになるから
ホントに微妙な案配なのであり。

 「わあ、これって印刷したみたいなのvv」
 「そうだろ。ゴ○ィバのみたいで本格的だろ?」

小さな四角いアソートチョコの上面には、
貼られたとしか思えないプリント柄の模様が描かれていて、

 「ほら、柔らかいうちにこういうのを切って載せとけば、
  冷めるとくっつくって寸法だ。」

金髪の坊やがホレホレと振って見せたのは、
薄い下敷きみたいで下地は透明、カラフルな模様つきのシートが何枚か。

 「えー? それって食べられるの??」
 「おうよvv」

転写シートって言ってな、
こういうことも出来んだぜと。
ヒル魔くんが前以て作ったらしき完成品を、小皿に並べて見せてくれて。
そちらはホワイトチョコ製らしいトリュフなのだが、
ドーム型になったなめらかな天辺に、
流し絵みたいなマーブル模様が描かれていて。

 「この型へ最初にシートを敷いといて、
  まずはチョコだけ溶いたホワイトチョコを少し入れて、
  器を固める。」

 「うん。」

 「固まったら、そこで湯煎して作ってるガナッシュを入れてから、
  またまたホワイトチョコで蓋をする。
  あ、ガナッシュは心持ち冷ますんだぞ。
  でないと、器の部分が溶けたら意味ないからな。」

 「はぁ〜いvv」

今回は、セナくんを生徒にしての“チョコレート講座”という格好で、
聖バレンタインデーを前に、
美味しい可愛い手作りチョコを作ることになった坊やたち。
何ならケーキだって焼けちゃうぞというほどの
レベルになっておいでのおちびさんたちなので、
基本、湯煎したのを固めるというタイプの安全調理、
手放しで任せておける…かと言えば、
そこはやっぱり微妙なわけで。

 「これが完成品ですって格好で、手際を教えるだけだってのにな。」

それでもやっぱり、実際にやって見せる箇所もあったりする訳で。
まずは塊のチョコをこうして刻んで、ああ手元に注意な。
湯煎はこうしてゆっくりと、
ゴムベラでボウルの表面からこそぎ落とすよな感覚で、などなどど。
実際に手掛けたからこその
的確なアドバイスをこなす坊やから教えられ、

 「うっとぉ、…こぉかな?」
 「そうそう。」

あんまり手先が器用なほうではないセナくんも、
慎重にとかゆっくりとか、殊更に掛けられる声へ励まされ、
おいしょおいしょと頑張って、

 「わあ、きれーに出来たvv」
 「うん、上手い上手い♪」

型から取り出したホワイトチョコは、
ポップなヒマワリやチューリップのイラストつき。
テンパリングしたアソートの方は、
芯にした方のガナッシュを扱ったフォークの跡が見えなくもないが、
なんの、おしゃれな柄だと思えばいいまでのこと。
仕切りで小さく区分けされた薄めの化粧箱へ、
1つずつパラフィン紙のカップに収めたチョコを並べてゆき、
中蓋代わりのパラフィン紙を伏せてから、箱の蓋をして。
そちらも可愛らしいクマさん柄の包装紙で包めば、

 「やたっ、完成したよぉ!」
 「良かった良かった。」

小さな坊やたちの奮闘振り、デジカメで収めていたのが桜庭さんなら。
何でだろうか、どうしてだろか。
お湯を満たした鍋の中に浮かせたボウルの内側を、
ゴムべらで くるんくるんと撫でるだけの手際だというに。
そのゴムべらとそれから、ボウルを押さえてたキッチンミトン、
何組も汚れたと取り替える金髪坊やなものだから。
うかうかしていると、調理台の上に洗い物の山が出来てしまう、
そんな不思議現象も相変わらずなのをフォローするべく。
荒くれ揃いのアメフト部の主将にして、
大型バイク乗りの恐持てお兄さんが、
片っ端からこまごま洗っては“ほい”と
シェフ殿の手元へ渡しておいでで。

 “そこまで込みでの風物詩だよねぇ。”

完成したのへホッとしたのは、おちびさんたちだけじゃあなかった
相変わらずのお料理教室の動画のほうも、
こそりと最強ラインバッカーさんへと贈る予定の桜庭さん、
ああ、この騒動が来ると春も近いなぁなんて、
そんな想いに のほほんとした笑みで頬を温めてしまった
早春の一幕だったのでございました。


  ちょっと遅れましたが、

    HAPPY St.Valentine's day!



   〜Fine〜  14.02.17.


  *Eテレの『グレーテルのかまど』を時々見ております。
   スィーツ男子のヘンデルくんが、
   手作りに挑戦という仕様のお料理番組なのですが、
   先週のはモロに“手作りチョコに挑戦”でして。
   あの転写シートって、一般に市販されてるんですってね。
   トリュフやアソートの形に凝れる“型”も
   バラとかいろいろなのが出回ってるし。
   手作りものもレベルがぐいぐい上がってるんだなぁ…。

   「葉柱くんも当然貰ったんでしょう?」
   「う…まぁな。////////」

   そんなやりとりを遠目に見つつ、
   事情を知らない人々は、

   「おお、あの恐持てを含羞ませとるぞ。」
   「さすがジャリプロアイドルは違う。」(おいおい)

   勝手なことを言う春でもあったようでございます。(笑)


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